旬の特集
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文書作成日:2016/11/24

 今年6月にニッポン一億総活躍プランが閣議決定され、「介護離職ゼロの実現」という目標が掲げられました。こうした方針を受け、企業も介護と仕事の両立への対応に積極的に取組むことが求められています。今後、様々な法整備が進むと予想されますが、まずは、来年1月に改正育児・介護休業法が施行されます。そこで、今回はこの内容について解説することとしましょう。


 前回の育児・介護休業法の改正では、両親ともに育児休業を取得できる仕組みとしてパパ・ママ育休プラスが新設され、また育児短時間勤務制度の導入が義務化されるといった大きな改正が行われました。これに対し、今回の改正は、介護に関することが中心であり、育児に関するものは相対的に小さなものになっていますが、有期契約労働者の育児休業の取得要件等が緩和されたり、子の看護休暇について半日単位取得等が認められることになります。

(1)育児休業等の対象者の拡大
 有期契約労働者が増加する中、その育児休業取得に関するトラブルが増加しています。こうした状況を受け、有期契約労働者の育児休業等を取得できる範囲に関する改正が行われ、来年1月からは申出時点において以下の2つの要件のいずれも満たした場合に、休業が取得できることになります。

a.入社1年以上であること
b.子が1歳6ヶ月になるまでに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかでないこと

 この「更新されないことが明らか」とは、契約期間が満了することや、更新がされないことが確実な場合を指しており、労働契約書等において「契約を更新する場合があり得る」と定めている場合には、育児休業を取得できると考えなければなりません。

(2)子の看護休暇の半日単位の取得
 子の看護休暇とは、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者が、1年に5日まで(対象となる子が2人以上の場合は10日まで)、病気・けがをした子の看護や、子に予防接種・健康診断を受けさせるための休暇が取得できるものです。今回、柔軟な取得を進めるために、1日の所定労働時間が4時間以下の労働者等を除き、半日単位での取得ができるようになります。
 この半日単位とは1日の所定労働時間数の2分の1が原則となりますが、会社の始業・終業時刻や休憩時刻の関係で、昼の休憩時間を挟んで午前・午後で取得できるようにしたいといったケースもあるでしょう。この場合、対象となる労働者の範囲、取得の単位となる時間、休暇1日当たりの時間数の3点を労使協定で締結しておくことで、所定労働時間数の2分の1以外の時間数で、企業の実態に合う形で設定することができます。例えば始業時刻が午前9時、休憩時刻が正午から午後1時、終業時刻が午後6時のケースでは、休憩前後で半日を分けることで、午前を3時間、午後を5時間とすることが可能です。その他、労使協定を締結することで、業務の性質や業務の実施体制から、半日単位で子の看護休暇を取得することが困難と認められる業務に従事する従業員については、半日単位での取得の対象外とすることが認められています。

 この他、育児休業や子の看護休暇等の対象となる「子」の定義が変更になります。これまでは法律上の実子および養子とされていましたが、これが来年1月からは特別養子縁組の監護期間中の子、養子縁組里親に委託されている子等も「子」の対象として追加されます。


 今回の改正育児・介護休業法の中心となる、介護に関する部分については、介護休業の分割取得や、介護のための所定外労働の制限の制度の導入等が行われます。

(1)介護休業の分割取得等
 現行制度では、介護休業は介護を必要とする家族1人につき通算93日まで、原則1回に限り取得することができるとされていますが、来年1月からは3回まで分割して取得することが可能となります。なお、取得できる期間は通算93日で変更ありません。
 また対象家族の範囲は、配偶者(事実婚を含む)、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫となり、現行制度では同居・扶養要件がある祖父母、兄弟姉妹、孫について、これらの要件が廃止されます。

(2)介護休業等の対象者の拡大
 育児休業と同様に、介護休業を取得できる有期契約労働者の範囲についても変更が行われ、以下の2つの要件のいずれも満たした場合に、休業を取得できることになります。

a.入社1年以上であること
b.介護休業開始予定日から93日を経過する日から6ヶ月を経過する日までに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかでないこと

 この「更新されないことが明らか」とは、上記1.(1)に記した内容と同様に、契約期間が満了することや、更新がされないことが確実な場合を指しています。

(3)介護のための所定労働時間の短縮措置等
 育児については、既に所定労働時間の短縮措置(短時間勤務制度)の導入が義務化されていますが、介護については、短時間勤務制度も含め、以下のいずれかの制度の導入が求められています。

a.短時間勤務制度
b.フレックスタイム制度
c.始業又は終業の時刻を繰り上げ又は繰り下げる制度
d.労働者が利用する介護サービスの費用の助成その他これに準ずる制度

 

 現行制度においては、介護休業と上記a〜cのいずれかの制度を通算して93日の範囲内で取得できるとされていますが、今後は、利用開始から3年以上の期間の間で2回以上、利用できるようにしなければならなくなります。具体的には、以下の【ケース1】のように短時間勤務制度を2回に分けて取得することや、【ケース2】のように短時間勤務を3年間取得することが可能となります。

(4)介護のための所定外労働の制限
 今回、新設される制度の中でもっとも影響が大きいと言われているのが、介護のための所定外労働の制限(残業の免除)です。この制度は、介護のために残業の免除を申し出た場合、介護を必要とする家族1人につき、介護終了まで利用できることになります。この申し出は1回につき1ヶ月以上1年以内の期間で行うことになっています。利用できる期間が介護終了までとなっており、長期に亘ることも予想されます。

(5)介護休暇の半日単位の取得
 介護休暇とは、要介護状態にある対象家族の介護その他の世話を行う労働者が、1年に5日まで(対象家族が2人以上の場合は10日まで)、介護その他の世話を行うための休暇が取得できるものです。今回、上記1.(2)子の看護休暇と同様に、半日単位での取得ができるようになります。


 育児休業制度の普及により産前産後休暇や育児休業を取得し、継続就業する女性が増加しています。また国をあげて女性の活躍を推進していることを受け、出産・育児というライフイベントを経つつ、キャリアを高めていこうとする女性も増えています。こうした環境を背景に、妊娠・出産・育児休業等に対するハラスメントと介護休業に関する制度の利用に対する嫌がらせ等(以下、併せて「マタハラ」という)が増加していることから、企業にマタハラ防止措置の実施が求められています。具体的には以下の4項目を行うことになります。

a.事業主の方針の明確化及びその周知・啓発
b.窓口の設置等の相談体制の整備
c.事案にかかる事後の迅速かつ適切な対応
d.マタハラの原因や背景となる要因の解消

 これらに加えプライバシーの確保や、マタハラの相談をしたり事実関係の確認に協力したりしたことで不利益な取扱いが行われないという旨を、周知することなどが求められます。


 今回の改正育児・介護休業法への対応として、育児・介護休業規程や労使協定の見直し、マタハラ防止措置についても就業規則の見直しや相談体制の整備が必要になります。来年1月に施行が迫っていることから、早めに整備を進めておきたいものです。

■参考リンク
厚生労働省 「育児・介護休業法について」

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

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