文書作成日:2025/09/25
今後、人事労務管理に関連する法改正の施行が多くあります。そこで今回の特集では、今後1年の間に施行される労働関係諸法令改正の概要を確認しておきましょう。
今後1年の間に施行が予定される法令改正で、主なものは下表のとおりです。カスタマーハラスメント対策等の義務化については、施行時期が未定ですが、遅くとも2026年12月までに施行されることになっており、2026年12月よりも前に施行される可能性があります。
施行時期 | 内容 |
2025年10月 |
|
|
|
2026年1月予定 |
|
2026年4月 |
|
2026年7月 |
|
2026年10月 |
|
施行時期未定 〜2026年12月頃まで |
|
[1]の中から、具体的な情報が出てきているものをピックアップして、内容を確認しましょう。
- 男女間賃金差異と女性管理職比率の情報公表を、従業員数301人以上から101人以上の企業へ拡大
- これまで従業員数301人以上の企業に公表が義務付けられていた男女間賃金差異の公表について、101人以上の企業に公表義務を拡大し、新たに女性管理職比率についても101人以上の企業に公表が義務付けられます。情報公表を行う際に、項目の漏れがないようにしましょう。
- 在職老齢年金制度の支給停止となる収入基準額を50万円から62万円に引上げ(2024度価格)
- 在職老齢年金制度とは、年金を受給しながら働く高齢者について、一定額以上の賃金のある人は年金制度を支える側に回ってもらうという考え方に基づき、年金の支給額が調整される仕組みです。
働き続けることを希望する高齢者が増えており、また企業においても人材確保等の観点から、引き続き高齢者を雇用していきたいという思いがあります。しかし、実際に働く高齢者においては、年金額が減らないように労働時間を調整する動きがみられることから、2026年4月より、厚生年金が支給停止となる基準額が、現在の月50万円から月62万円(いずれも2024年度の価格)に引き上げられます。
- 在職老齢年金制度とは、年金を受給しながら働く高齢者について、一定額以上の賃金のある人は年金制度を支える側に回ってもらうという考え方に基づき、年金の支給額が調整される仕組みです。
- 障害者法定雇用率を2.7%に引上げ
- 現在の民間企業の法定雇用率は2.5%ですが、2026年7月に2.7%に引上げとなります。これにより、37.5人以上の企業で、少なくとも1人の障害者を雇用する必要があります。障害者雇用人数が不足している企業や今後不足することが予想される企業においては、法定雇用率の達成に向け、継続的に採用と定着の取り組みを進める必要があります。
- カスタマーハラスメント対策の義務化・求職者等に対するセクシュアルハラスメント対策の義務化
- カスタマーハラスメント対策については、企業が講ずべき措置として、方針等の明確化とその周知・啓発、相談体制の整備・周知、発生後の迅速かつ適切な対応・抑止のための措置が挙げられていますが、具体的な内容については今後指針で示されることになっています。求職者等に対するセクシュアルハラスメント対策についても、企業が講ずべき措置として、方針等の明確化とその周知・啓発、相談体制の整備・周知、発生後の迅速かつ適切な対応・抑止のための措置が挙げられていますが、具体的な内容についてはカスタマーハラスメント対策と同様に、今後指針で示される予定です。
これら以外の改正についても、今後、具体的な情報が随時出てくることになります。最新情報にアンテナを張っておきましょう。
■参考リンク
厚生労働省「ハラスメント対策・女性活躍推進に関する改正ポイントのご案内」
厚生労働省「在職老齢年金制度の見直しについて」
厚生労働省「障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について」
※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。