文書作成日:2026/05/28
通常、助成金制度は年度単位で予算が立てられており、年度初めに多くの助成金の創設・改廃が行われます。今回は、比較的多くの企業で活用が進む両立支援等助成金について、主な変更点を確認します。
両立支援等助成金とは、仕事と育児・介護等の両立支援に取り組む事業主を支援するもので、6つのコースから構成されており、各コースの概要は以下のとおりです。
- 出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)
育児休業を取得しやすい雇用環境整備等を行い、男性従業員が育児休業を取得した場合に受給できる助成金 - 介護離職防止支援コース
「仕事と介護の両立支援プラン」を策定の上、プランに基づき労働者の円滑な介護休業の取得・復帰に取り組んだ場合や仕事と介護の両立に資する制度を導入し利用者が生じた場合、介護休業や短時間勤務を行う労働者の業務を代替する体制の整備を行った場合に受給できる助成金 - 育児休業等支援コース
「育休復帰支援プラン」を策定の上、育児休業の円滑な取得・職場復帰の取組を行った場合に受給できる助成金 - 育休中等業務代替支援コース
育児休業取得者や短時間勤務者の業務を代わりに行う従業員に手当を支給するか、代替要員を新規雇用(派遣での受け入れを含む)した場合に受給できる助成金 - 柔軟な働き方選択制度等支援コース
育児を行う従業員の柔軟な働き方を可能とする制度を複数導入し、制度を利用した従業員に対する支援を行った場合等に受給できる助成金 - 不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース
不妊治療、月経(PMS(月経前症候群)を含む)、更年期といった女性の健康課題に対応するために利用可能な両立支援制度を利用しやすい環境整備に取り組むとともに、不妊治療や女性の健康課題に関する従業員の相談に対応し、それぞれに関する制度を従業員に利用させた場合に受給できる助成金
以下では、この中から、出生時両立支援コース、介護離職防止支援コース、育休中等業務代替支援コース、3つのコースを取り上げ、主な変更点を確認します。
このコースで対象となる取り組みは、「1.男性の育児休業取得」と「2.男性育児休業取得率の上昇等」の2つに分かれています。主な要件と支給額の概要は以下の通りです。
- 男性の育児休業取得
主な要件:対象となる従業員が子どもの出生後、8週間以内に育児休業を開始し、一定日数以上の育児休業を取得
支給額:1人目20万円(雇用環境整備措置を4つ以上実施した場合、30万円)
2人目・3人目10万円 - 男性育児休業取得率の上昇等
主な要件:申請年度の前年度を基準として育児休業の取得率が30%以上上昇し、50%以上となった場合
支給額:60万円 ※1事業主につき1回限り
「1.男性の育児休業取得」については、中小企業事業主(表1)が対象となりますが、「2.男性育児休業取得率の上昇等」については、2026年4月1日より業種にかかわらず常時雇用する労働者が300人以下の事業主(特定事業主)が対象になりました。常時雇用する労働者が300人以下であったものの、資本金が中小企業事業主の基準を上回っていたことから対象外となっていた事業主(表2)も対象となりました。
表1 中小企業事業主の範囲
| 資本金の額または 出資の総額 |
常時雇用する労働者の数 | ||
| 小売業(飲食店を含む) | 5,000万円以下 | または | 50人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 | |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 | |
| その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
表2 特定事業主の範囲
| 資本金の額または 出資の総額 |
常時雇用する労働者の数 | ||
| 小売業(飲食店を含む) | 5,000万円以下 | または | 300人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下 | 300人以下 | |
| 卸売業 | 1億円以下 | 300人以下 | |
| その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
介護離職防止支援コースは、「1.介護休業」、「2.介護両立支援制度」、「3.業務代替支援」、「4.介護休暇制度有給化支援」の4つに分かれています。主な要件と支給額の概要は以下の通りです。
- 介護休業
主な要件:対象労働者が介護休業を取得し職場復帰
支給額:40万円 - 介護両立支援制度
≪A≫
主な要件:介護両立支援制度(※)を1つ導入し、対象従業員がその制度を利用
支給額:20万円
≪B≫
主な要件:介護両立支援制度(※)を2つ以上導入し、対象従業員がその制度を1つ以上利用
支給額:25万円
※介護両立支援制度は、時差出勤制度、短時間勤務制度、在宅勤務制度、フレックスタイム制度、介護サービス費用補助制度のことをいいます - 業務代替支援
[新規雇用]
主な要件:介護休業取得者の業務代替要員を新規雇用または派遣で受入
支給額:20万円
[手当支給等]
≪A≫
主な要件:介護休業取得者の業務代替者に手当を支給
支給額:5万円
≪B≫
主な要件:介護短時間勤務者の業務代替者に手当を支給
支給額:3万円 - 介護休暇制度有給化支援
主な要件:有給の介護休暇制度を導入し労働者が利用
支給額:30万円
この中で、4.介護休暇制度有給化支援が2026年4月1日から新設されたものです。なお、介護離職防止支援コースは、中小企業事業主のみが対象です。
このコースには「1.育児休業中の手当支給」、「2.育児短時間勤務中の手当支給」および「3.育児休業中の代替要員の新規雇用」の3つがあります。主な要件と支給額の概要は以下の通りです。
- 育児休業中の手当支給
主な要件:育児休業取得者の業務代替者に手当を支給
支給額:A 業務体制整備費:最大20万円
B 業務代替手当:手当支給額の3/4 (最大240万円) - 育児短時間勤務中の手当支給
主な要件:短時間勤務者の業務代替者に 手当を支給
支給額:A 業務体制整備費:最大20万円
B 業務代替手当:手当支給額の3/4 (最大108万円) - 育児休業中の代替要員の新規雇用
[新規雇用]
主な要件:育児休業取得者の業務代替要員を新規雇用または派遣で受入
支給額:最短(7日以上):9万円
最長(1年以上):81万円
2026年4月1日より、「1.育児休業中の手当支給」と「2.育児短時間勤務中の手当支給」については、支給対象となる事業主の労働者数要件が撤廃され、すべての企業が対象となりました。また、「3.育児休業中の代替要員の新規雇用」は、業種にかかわらず常時雇用する労働者数の範囲が拡大され、労働者が300人以下の事業主が対象になり、[2]の表2と同様です。
このほか、「1.育児休業中の手当支給」の業務代替手当の支給について、助成金の算定対象となる手当支給期間の上限を2年間に延長する拡充が行われています。
これらの内容以外にも、細かな要件や支給額の加算等が設けられています。厚生労働省のホームページには、182ページからなるパンフレットが公開されていますので、活用を検討する場合は内容を確認しておきましょう。
■参考リンク
厚生労働省「両立支援等助成金のご案内」
※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。






























